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『妊娠出産の常識 ウソホント』エミリー・オスター

で、本書は彼女が、自分の妊娠出産にその統計分析手法を向けたもの。妊娠中は酒やコーヒー絶対ダメとか、あれは食うなこれは食うな、薬は飲むな逆立ちするな、といった話をさんざん聞かされる。おかげで妊婦はノイローゼ気味になっちゃって、これまた母子ともによろしくない。

オスターは、自分の妊娠出産を機に、この手のあらゆる話について「それは本当? 悪いってどのくらい?」とたずね、すべて原論文やもとの調査 にまで遡って調べる。その結果、あれこれ言われていることの三分の二くらいは、あまり根拠がないことを示す。酒もコーヒーも、絶対ダメなんてことはない。 生肉はやめたほうがいいとかはある。熱すぎる風呂に入りすぎるのもダメ。根拠あるものは根拠あるので、それはちゃんと考えよう。でもそうでないものも多い し、全体としてあまり神経質にならなくていいみたい。

 

しかもえらいのは、「コーヒーはほどほどに」とかいう曖昧さも許さないこと。「ほどほど」ってどれほど? 彼女はそれを医者などにもギリギリ 詰めたあげく(かわいそうなお医者さん……)自分でいろいろ調べて、一日2杯なら絶対大丈夫、四杯でもほぼOK(つまりよほどのカフェイン中毒以外まった く心配無用)ということを明らかにする。すげえ。

 

が、あれもこれも、非常に勉強になる話ばかりだし、いま妊娠目指し中あるいは妊娠中の方々はにはものすごくおすすめ。これを読んで、小サンプルの偏った結果に基づく我流のあれやこれやには惑わされないようにしましょう! 心穏やかになれます。

 

エミリー・オスター『妊娠出産の常識 ウソホント』:おおお、エミリー・オスターきたーっっっっ!! - 山形浩生 の「経済のトリセツ」