2015年3月18日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ 2014-15、ベスト16、バルセロナ対マンチェスター・シティの一戦は1-0でバルセロナが勝利しました。
2試合合計3-1でバルセロナがマンチェスター・シティを下し、チャンピオンズリーグ準々決勝進出を決めています。
バルセロナ
イヴァン・ラキティッチ 31’
試合開始後に席についたグアルディオラ監督の姿は、テレビ中継でたびたび映し出され、リオネル・メッシのプレーに何度も感嘆の仕草を見せた。またハーフタイムには『カタルーニャ・ラジオ』のインタビューに答え、次のように語っている。
「今日のメッシは素晴らしい。彼のプレーを見るのは、私にとって最高のぜいたくだね。バルセロナの他の選手たちも好調で、良いシーズンを送っているよ」
試合後、テア・シュテーゲンはクラブ公式HPによると、「マスチェラーノが、アグエロがPKでどっちに蹴るのかを教えてくれたんだ。ラフィーニャも教えてくれた。それぞれ反対の場所を言ったので、僕自身が決めたが助けには感謝している」と明かし、チームメイトに感謝した。
世界最優秀選手に4度輝いているメッシも、この日は称賛する側の立場にまわり、「ハートは怪物だ」と話した。
「今日は全部止められた。僕らはもっと点を入れてもおかしくないだけのプレーをしたと思うし、絶好機もたくさん作ったけど、キーパーが素晴らしかった」
「すごいとしか言いようがないよ。でも大切なのは、うちが目標を達成して勝ち進んだことだ」
1点差ゲーム、バルサ対マンCは本当に僅差だったのか? データから見える圧倒的なバルサの強さ
フットボールチャンネル 3月21日(土)10時0分配信
ファイナルサードのパス本数はあまり変わらず
現地18日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)、バルセロナ対マンチェスター・シティの一戦は1-0でバルサが勝利。初戦を1-2で落としたシティは逆転を狙ったものの叶わず、合計スコア1-3で敗退した。
2ndレグは1点差、しかもアグエロのPK失敗もあり、大きな差はないように見える。ところが、データを分析すると内容的には僅差ではなかったことが分かる。欧州のビッグクラブのスカウトも使っているWyscoutのデータから見てみよう。
図1は試合の基本データだ。UEFA公式データのボールポゼッション率ではバルサが58%だったこの試合、時間にすると約8分間、バルサはシティよりも多くボールを保持していた。
パス本数ではバルサが551本のパスを試みたのに対し、シティのそれは380本。差があるように見えるが、グアルディオラ監督時代バルサは平均で約700本のパスを回していた。ホームでの試合ということを考えても、以前よりはずっと少ない。
また、ファイナルサード(ピッチを縦に三分割した際の相手ゴールに近いエリア)でのパス本数は129対108とあまり変わらなかった。以前であれば、圧倒的にパスを回し、相手にボールを持たせないことがバルサの強さであったが、データでもはっきりと変化が見られる。
スルーパスも多い。シティが8本だったのに対し、バルサは25本。つないで崩すというよりも、局面打開のためのパスが増えた。成功率は52%ということから、一発狙いの意図が増えたとも言えるだろう。ドリブル勝負での数では大きな差が
ところが、それで弱くなったとは言えない。図にはないが、こんなデータもある。この試合、1対1の場面でドリブルを仕掛けた回数はバルサの77回に対し、シティは21回。特にメッシは1人で28回仕掛け、23回勝利した(1回は勝敗付かず)。
シティのトップがアグエロの6回挑戦3回勝利(1回勝敗付かず)と比べ、バルサはメッシ以下にネイマール:18回挑戦11回勝利(2回勝敗付かず)、スアレス:11回挑戦8回勝利、イニエスタ:5回挑戦4回勝利(1回勝敗付かず)、アルバ:5回挑戦4回勝利と続く。
攻撃的な選手がこれだけドリブルで勝利していれば、自然とチャンスも増えるというもの。ファイナルサードでパス本数が控え目になったのは、ドリブルでゴールへと迫っていたからだろう。
ちなみにこの試合、バルサは23本のシュートを放ったが、GKは11本もセーブした。敵味方に試合後から称賛されたジョー・ハートだが、その活躍はデータでも証明されている。
図2は各選手の平均のポジショニングだ。メッシは右サイドが基本ポジションだが、プレーエリアは中央に近い。これにより、ダニエウ・アウベスは自由にオーバーラップが可能だ。データではDFというよりもMFと言っていい位置にいる。
対するシティはバルサの右サイドへの対応を強いられたため(バルサから見て)左サイドに選手が寄っている(ミルナーが中央にいるのは、後半からポジショ ンチェンジしたため)。だが、失点シーンはカウンターからバルサの右サイドを突破され、最後はガラ空きになった左サイドにいたラキティッチがフリーでボー ルを受けて流し込んだ。
カウンターという場面ではあったが、教科書通りに左右に揺さぶられ、ぽっかりと穴を作られた。試合を通して、バルサは21回のカウンターアタックを仕掛 けている。逆転を目指すシティが攻撃偏重になったことはあるが、しっかりとした狙いであり、じわじわとイングランド王者を追い詰めていった。勝負を分けた決定的なパスの差
最も注目すべきデータは図3。これは各選手が誰にパスを出したのか図式したものだ。線が太いほど多くのパスを出している。バルサは全体的にコンパクトで、三角形でパスを回す秩序がある。
太い線を見ていこう。ホットラインになっているメッシとアウベスだが、アウベスからメッシへ29本ものパスが通っている(逆は22本)。次に太いイニエスタとネイマールは、イニエスタからネイマールへ21本のパスが通っている(逆は9本)。
トップであるメッシとネイマールにこれだけパスが通れば、チャンスが増えるのは自明の理だ。また、スアレスはあまり多くのパス交換をしていない。最も多くてメッシとイニエスタとパスをした5回。
これは彼がフリーマンとして、相手守備陣との駆け引きをしたり、こぼれ球を狙っているためだろう。シュートは両チーム最多の8本打っている。
一方のシティは太い線がない。最も多かったのはナスリからサニャへのパスで、9本。シルバからアグエロへも8本のパスが渡っているが、バルサと比べると 少ない。アグエロはスペシャルな選手ではあるが、パスを受ける回数が少なければ、それだけ能力を発揮する機会も少ない。いかにシティにとって難しい試合で あったかということだ。
シティはいくつかのチャンスを作った。PKが成功していれば…と考えることも出来る。だが、やはり僅差の勝負ではない。データで見ると、1対1の仕掛け、パスの質は圧倒的にバルサが上回った。内容では圧勝と言っても過言ではない。
データ提供:Wyscout植田路生